「白い背景で撮ったのに、写真だと白く写らない」
「実物はもっと明るい色なのに、なんだかくすんで見える」
「撮った写真の色が、どこか濁っている気がする」
こんな経験、ありませんか?
手元の作品はきれいなんです。
なのに写真になった途端、色が違って見える。
もどかしいですよね。
でもこれ、撮り方が下手なわけじゃありません。
スマホが安いせいでもないんです。
犯人は、部屋の天井についている照明。
この記事では、なぜ天井の照明が色を濁らせるのかと、道具を買わずに今日から直せる方法をお話しします。同じアクセサリーを撮り比べた写真もありますよ。
結論——撮影中は、部屋の電気を全部消してください
先に答えからお伝えしますね。
商品を撮るときは、天井の照明を全部消してください。
使うのは、窓から入る光だけです。
「え、暗くなっちゃうけど大丈夫?」
そう思いますよね。その心配、よく分かります。
でも大丈夫。
暗さは後から直せます。でも濁った色は、後から直すのがとても大変なんです。
天井の照明が写真に与える影響は、大きく2つ。順番にお話ししますね。
理由1:天井の照明は「緑っぽい光」を多く出している
天井の照明って、実は緑っぽい光を多く出しているんです。
正確には「緑の波長」を多く含んでいる、ということ。
波長というのは、光の色の成分のことですね。
目で見ているぶんには気づきません。
でもカメラは正直で、その成分をそのまま拾ってしまうんです。
結果、写真全体がうっすら緑に転びます。
白い背景が白く写らないのは、これが理由。
作品の色も、実物とは違う色で記録されてしまいます。
ここで大事になるのが「演色性(えんしょくせい)」という考え方。
演色性とは、その光が太陽の光にどれだけ近いかを表すものです。
太陽の光に近い光ほど、物の色をそのまま正しく見せてくれます。
窓から入る自然光は、この演色性がとても高い光なんですね。
一方で天井の照明は、部屋を明るくするためのもの。
物の色を正しく見せるために作られてはいません。撮影に使う光としては、自然光より汚い光なんです。
そして、さらに厄介なのがこの2つを混ぜてしまうこと。
窓の光と天井の光が混ざると、写真の中に性質の違う光が同居してしまいます。
こうなると、あとから色を直そうとしても素直に直ってくれません。
スマホ商品撮影の基本でもお伝えしていますが、この2つは極力混ぜないでくださいね。
理由2:天井から降る光は、影を作らない
もう1つの理由は、光の当たり方です。
天井の照明は、部屋全体にまんべんなく光が行き渡るように作られています。
上からふんわりと、あらゆる方向に広がって降ってくる光ですね。
部屋で過ごすにはありがたい光です。
でも撮影では、この「まんべんなく」が困りもの。
あらゆる方向から光が回ると、商品に影ができません。
そして影ができないと、立体感も一緒に消えてしまいます。
私は5年以上前、缶ジュースを撮った作例の記事でも同じことをお伝えしています。
室内の照明だけで撮った写真は、どうしても「のっぺりと言うか、ベタっとした感じ」になってしまうんですね。
まんべんなく当たる光より、方向のはっきりした光。
そのほうが立体感は出ます。
この「ベタッとする」問題は、光の向きという切り口で詳しく解説した記事があります。
商品写真がベタッとする原因は「光の向き」——道具を買わずに直す3つの方法を見る →
実際に撮り比べてみました
言葉だけではピンとこないですよね。
実際に撮った写真をご覧ください。
同じイヤリング、同じ場所、同じ背景です。光だけを変えています。
天井照明だけで撮影
色が正しく出る光で撮影
左は天井の照明だけで撮ったもの。
全体が茶色く沈んで、背景の花の色もはっきりしません。ラメの粒も、どこか眠たい光り方です。
右は色が正しく出る光で撮ったもの。
同じイヤリングとは思えないくらい、ラメの一粒一粒が輝いて見えますよね。背景の花も、本来の淡い色が出ています。
ひとつ正直にお伝えしておきますね。
この右の写真は、私が仕事で使っている撮影用のライトで撮ったものです。
同じ機材をそろえてください、という話ではありません。
ここで見ていただきたいのは、光を変えるだけで色がこれだけ変わるという事実のほう。
窓からの自然光も、色を正しく見せてくれる光ですよ。
天井の照明を消すだけで、左のような濁りは消えていきます。
そして、この右の写真をさらに手作業で仕上げたのがこちらです。
ここで見ていただきたいのは、仕上げの上手さではありません。
この仕上がりは、土台になる写真の色が正しかったから成り立っている。
そこを見ていただきたいんです。
左の茶色く濁った写真からは、どれだけ時間をかけて色を直しても、ここまで来られません。
撮る段階で色が濁ると、その先で取り返すのがとても難しい。
これが、撮影中は電気を消していただきたい一番の理由です。
今日からできる手順
- 部屋の天井照明を全部消す(撮影中だけで大丈夫です)
- 窓のそばに商品を置く。光は正面からではなく、横から当たるように置いてください
- 暗く写っても、そのまま撮る。撮影時に無理に明るくしなくて大丈夫です
- 明るさは、撮ったあとの編集で持ち上げる
特別な機材は要りません。窓とスマホだけで大丈夫ですよ。
まずは今日、電気を消して1枚撮ってみてください。
それだけで、昨日までの写真と色が変わってきます。
撮ったあとの明るさの直し方は、こちらの記事で手順を追って解説しています。
商品撮影で写真が暗くなる?スマホのLightroomで明るくする2ステップを見る →
よくある質問
Q. 昼白色(白い光)の照明なら大丈夫ですか?
見た目が白い光でも、写真では緑に転ぶことがあります。
目で見て白く感じるかどうかと、カメラが記録する色の成分は別物なんですね。
照明の色の種類にかかわらず、撮影中は消していただくのが確実です。
Q. 夜しか撮影する時間がありません。どうすればいいですか?
お仕事や家事のあとに撮る方、多いですよね。
その場合は撮影用のライトを1つ用意することになります。選ぶときは「演色性が高い」と書かれているものを。太陽の光に近い光ということなので、色が正しく出ます。
実際に使っているライトの記事も参考になさってくださいね。
Q. 撮ったあとに色を直せばいいのでは?
その気持ち、よく分かります。ある程度までは直せますよ。
ただ、窓の光と天井の光が混ざった写真は、色の違う光が同居している状態。
片方に合わせると、もう片方がずれてしまうんです。
撮る前に光を1種類にそろえておくほうが、あとがずっと楽ですよ。
自分で直すのが難しいと感じたら
ここまで試しても「自分の作品だと、どうも色が決まらない」という方も見えると思います。
作品の素材や色によって、効く直し方が違うからです。
難しく感じられて当然なので、安心してくださいね。
そんな方のために、あなたの作品と悩みに合わせて一緒に直し方を見つける90分のレッスンをご用意しています。